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イマイのコラム
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義援金
2011/04/12
震災から1ヶ月が過ぎ、災害義援金で被災者の方の支援を行っている人も多いと思います。この義援金、本来ならば「義捐金」と表現すべきと聞きました。「捐」という文字が戦後の当用漢字表に採用されなかったために、義援金という表現になっているようです。結局、「障害者」という表記ではなく「障碍者」という表記を使ったり、「子供」を「子ども」と表現したりする事と同じなんでしょう。

この義援金ですが、経理と言う観点で見ると払う側が法人なのか個人なのかで税務処理が変わってきます。さらに、払った相手先によっても税務処理が違ってきます。まず払う側が法人の場合、払った時点で「寄付金」勘定で処理をします。個人の場合には経費計上ではなく所得控除となりますので、帳簿につける必要はありません。帳簿につける場合には「店主貸」勘定で処理する事になります。

払った相手先が「日本赤十字社」や「中央共同募金会」などの場合には、法人は「指定寄付金」として損金計上し、個人は「特定寄付金」として寄付金控除の適用を受ける事になります。テレビ局や新聞社などへの寄付も、ほとんどの場合「震災口」という口座への入金をしますので、指定寄付金・特定寄付金とされます。

これらの領収書には「法人税法上の」とか「所得税法上の」といった文言が記載され、「指定寄付金」や「特定寄付金」として認められる旨が書いてあるはずです。しかしながら、街頭募金への支出額は領収書が発行されません。そのため「指定寄付金」や「特定寄付金」として扱う事ができません。

又、自治会などの任意団体が集めて合算し、日本赤十字社へ払い込む場合もあります。その場合には、日本赤十字社が個別に領収書を発行できるように、任意団体が「誰からいくら」集めたかという一覧を日本赤十字社に提出して、日本赤十字社からの領収書を各自に渡さないといけません。結局、領収書の発行団体と領収書の文言によって、寄付金としての税務的な恩恵を受けられるかどうかが変わってきますので、支払う前に領収書がどうなるかを確認する事が大切です。

…とは言うものの、そもそも義援金は「自分の気持ちを形に表したもの」です。被災者の方への一助になればという気持ちが大切です。「税金が安くなるから寄付する」という性格のものではありませんので、「指定寄付金」や「特定寄付金」にならないような寄付でも気持ちよく支出しましょう。

最後に…寄付金を個人が払った場合は、前述のように「寄付金控除」を受ける事ができます。これは「医療費控除」と同じように確定申告の必要があります。会社で行う年末調整ではできませんので、注意が必要です。