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イマイのコラム
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遺言について
2013/04/09
ここのところ、新聞や雑誌などで遺言の事をよく見ます。「エンディングノート」など、高齢者のための報道にも目が止まります。相続税の増税が計画されていますので、相続対策や遺言に関心が高まっているようです。私たちも相続対策の相談を持ちかけられます。私が一番大切にしたいのが、「争族にならないようにする」という事です。自分の残した遺産で息子や娘がケンカをするくらいなら、何も残さないようにした方が良かった…って事になるのを防ぐのが一番大切です。

相続税を安くする手段はあります。ただ、「税金の対策ばかり考えていたら子ども達に分け与える財産が減ってしまった」なんて事になると本末転倒です。よくあるパターンは「アパート経営」です。もちろんアパート経営の全てが悪いわけではありません。成功事例があるからこそ、勧める人がいるのです。ただ自分にも当てはまるかどうかが問題です。

土地があるから借金してアパート経営をする。借金の分だけ自分の財産は減る。自分の土地が他人の住んでいる土地になるので評価も下がる。これで相続税も減っていく…というストーリーですが、20年後、30年後にアパートを取り壊そうとすると、そのお金は誰が負担するのでしょうか?満室の頃は良いのですが、空室が出てくるとどうなるでしょうか?大規模修繕を行なうだけのアパート収入は確保できるのでしょうか?今の税金を安くするために、将来子ども達に負担を強いる事にならないでしょうか?

前述のように、成功している人もいます。その裏で失敗している人もあります。他の成功事例が自分にも当てはまるかどうかをじっくりと考える必要があります。

遺言は大切です。死人に口なしの状況でも、遺志を伝える唯一の方法だからです。「親父の思いはこうだったのか」「お袋はこんな事を考えていたのか」「兄弟仲良くしていきましょう」と、皆が納得できるような遺言が理想的です。

一番悪い遺言は「全ての財産を均等に分けなさい」というものです。土地を均等に分ける事はできません。同じ大きさでも場所によって価値が違いますし、南向きか北向きかでも価値が違います。均等に分けるとなると共有名義にせざるをえませんが、問題の先送りを行なっているだけです。

悪い遺言を書くと、トラブルが大きくなってしまいます。トラブルを避けるために書いたはずの遺言が、薬になるどころか毒になってしまう可能性があります。専門家のアドバイスも必要になりますが、アドバイスをもらうためには自分の財産の全てを見せる必要があります。又、家族の状況などプライバシーの部分も全て見せなくてはなりません。丸裸になってしまうのですから、信頼のおける人にしか相談できないと言う事になります。弁護士や税理士に相談すると共に、セカンドオピニオンも大切だと思います。