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イマイのコラム
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下町ロケット
2014/04/28
「下町ロケット」(池井戸潤・小学館文庫)を読みました。…面白かった。まるでNHKのプロジェクトXのようでした。

池井戸潤といえば「半沢直樹」が有名。残念ながら私はドラマを見てないのでコメントのしようがありませんが、その後の堺雅人さんのCM出演だけを見てもすごく好評だった事がわかります。半沢直樹以外でも「空飛ぶタイヤ」とか「かばん屋の相続」など実話を元にしたフィクションでわかりやすく、面白い小説が多いです。今後も「花咲舞が黙ってない」とか「ルーズヴェルト・ゲーム」とかでドラマ化されるようです。

下町ロケットは東大阪の「まいど一号」のように「実力のある町工場の親父たちが力を合わせてロケットを飛ばすんだ」という話だと私は思い描いていましたが、全然違いました。(ここからネタバレになりますので、この本を読んでない場合には注意して下さい。)

ロケット研究の第一人者がロケット打ち上げに失敗し、家業である町工場を継ぐ事になった。事業は順調だったが大企業から特許侵害だとの告訴を受けて、銀行や大手得意先から冷たい仕打ちにあう事になる。その最中に帝国重工という日本最大のロケット会社から特許を売ってくれという話が持ち上がる。普通なら「渡りに船」という事ですぐさま特許を売って資金繰りをよくするだろうと思うが、社長は技術者であり夢を持ち続けているため、特許を売るのではなく、特許使用許諾でもなく、部品供給をさせてくれと帝国重工に訴える。

帝国重工も自前の技術でロケットを飛ばす事が大前提なので、障壁は高い。自社の中でも、社長の夢のために従業員を犠牲にするのかといった反対意見もある。そんな中で品質に自信とプライドを持って大企業に挑み、「ウチの部品がないと御社のロケットは飛ばないんだ」「御社がウチを選ぶんでなく、ウチも御社を選ぶかどうかチェックするんだ」という気持ちに切替え、全従業員が一丸となって大企業のパートナーとしての地位を獲得していく…。

こんなあらすじで、全てハッピーエンドに収まっていくのがフィクションだと思います。特に社長の方針に納得いかず、部品供給の邪魔をした社員に対して、本人にわからないように次の就職先の道筋をつけてやるくだりはちょっと出来過ぎかと…。

しかしながら、どんでん返しに無理がなく非常におもしろい小説でした。銀行から出向で来た経理マンも、大きな渦の中で営業マンや技術者と共に一体になっていくのがイイ感じです。中小企業にも面白味がある事を、就活中の学生さん達にわかってもらえる小説だと思います。