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イマイのコラム
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選挙結果にもの申す
2009/09/14
8月に行われた衆議院選挙で民主党が圧勝し、歴史に残る結果となりました。自民党の今までの政治や、民主党への国民の期待など色々とマスコミ報道がされていますが、私が不可解に思っている事は「小選挙区における得票率と議席数との乖離」の問題です。小選挙区が導入されてからずっと言われてきている事ではありますが、大きな問題だと思いますのでコメントさせて頂きます。

今回の小選挙区での得票総数は70,581千票でした。そのうち民主党が獲得した票が33,475千票になり、得票率は47%でした。しかし議席数は221議席…小選挙区で選ばれる300議席のうち221議席を民主党がとりました。占有率は73%以上となります。

一方、自民党は70,581千票のうち27,301千票を獲得し、38%の獲得票がありながら、議席数は21%しかとれませんでした。47%の得票率で73%の議席を獲得し、38%の得票率で21%の議席を獲得する選挙っておかしくないですか?何故このような事態になるのか…これは2つの問題が絡みあった結果発生した、小選挙区制の弊害です。

小選挙区制とは、日本全国を300の区に分けて、各区から当選者1名が選ばれる制度です。3人が立候補をしても1名しか選ばれません。A候補が40%、B候補が30%、C候補が30%の得票があった場合には、A候補が当選し、その他の60%の投票が死票となってしまいます。立候補が5人とか7人とかあった場合には、死票の数はもっと多くなります。

もう一つの問題は、一票の格差の問題です。X区に5万人の有権者がいる場合とY区に4万人の有権者がいる場合、それぞれに3名の立候補があったとすると、同じ2万票の獲得をしてもX区では落選し、Y区では当選する自体が起こり得ます。今回の選挙でも落選議員の最高得票数と当選議員の最低得票数が新聞に掲載されていましたが、落選議員にとっては納得のいかない数字だと思います。

そもそも何故小選挙区制度が導入されているのかと言いますと、これはアメリカのような2大政党による政治を狙ったためです。今回の選挙でも、小選挙区では民主党と自民党でほとんどの議席を獲得し、公明党をはじめとする少数政党は議席を獲得できない状況でした。少数の意見を排除してしまう選挙制度が民主主義の選挙といえるのでしょうか?

又、今回の選挙結果を見ると、2大政党どころか1つの政党がほとんどの議席を獲得できてしまう選挙制度とも言えます。もちろん今の民主党が昔のイタリアやドイツのようなファシズムに走る事はないでしょうが、選挙制度としてはファシズムを可能にしてしまいます。

小選挙区制の弊害を少なくするために比例代表制度も併設されています。これは政治家を選ぶのではなく政党を選んで投票し、ブロックごとに当選議員を決めていく方式です。この方式ですと死票も少なく、少数政党が議席を獲得できるチャンスがあります。小選挙区で落選した議員が復活当選し「ゾンビ」と呼ばれてしまいますが、死票が少なく少数の意見が反映されるという意味では大切な制度だと思います。

象徴的なのは新党大地の鈴木宗男議員です。小選挙区ではなく北海道ブロックの比例代表で当選したという事は、有名人という事もありますが、北海道のために活動している事を北海道の人が認めている事の象徴だと思います。今後、選挙制度の改正がなされていくと思いますが、その際には比例代表の議席数を減らすのではなく、小選挙区制の見直しをしてもらいたいものです。