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イマイのコラム
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マイナンバー
2015/03/30
マイナンバーが10月から付されます。これは、個人ごとに番号をふって税金と社会保険に役立てようとするものです。本来ならば「住民基本台帳」の番号(住基カード番号)でこれらの役割を果たせるはずだったのですが、プライバシー保護の観点から骨抜きになって、結局仕切り直しという事になったようです。住基カードでも相当の予算を使ったと思うのですが、今回も2年間で二千億円以上の予算が使われると報道がありました。

せっかく大きなお金を使うのであるならば、有効に利用してもらいたいと思います。税金や社会保険の情報はプライバシーの集合体のようなものなので流出事故などがあってはなりませんが、それを理由に使いにくいシステムになったり他のシステムと連動しなかったりするのでは本末転倒だと思います。

従業員が千人も二千人もいるような大企業にとって、全従業員のマイナンバーのみならず、その家族のマイナンバーを正確に収集する事は大変な労力になります。では中小企業ならば簡単かというと、専属の部署のない中小企業の場合、給与計算担当者がその役割を担うのであろうでしょうから大変な労力になる事には違いがありません。

マイナンバーが上手く機能し始めると、次のような問題が解消されると思われます。

「扶養是正がスピーディになる」
例えば大学の近くに下宿している息子が勉学に励んでいると思っていたら、バイトに明け暮れ給与収入が103万を超えていた。父親はそれを知らず、年末調整で息子を扶養として処理していた。

今までは市役所に給与支払報告書が集められ、その集計によって扶養是正が行われていましたが、マイナンバーと給与総額で税務署がすぐさまチェックできるようになります。同じ例として、遠くに離れて済んでいる老親を長男も次男も扶養として処理していた…なんて場合もチェックが素早くできるでしょう。

「確定申告の漏れが少なくなる」
確定申告をする人の中には、「保険の満期に税金がかかるなんて知らなかった」とか「屋根についている太陽光発電も税金の対象になるなんて知らなかった」という人が多くあります。このような場合には、保険会社からマイナンバーつきで税務署へ報告が行ったり電力会社から報告が行く事によって、「確定申告を忘れずに」という告知ができるようになると思われます。

もっと発展的に考えると、次のような使い方もできるはずです。

「医者のカルテと連動して、施術や投薬の管理を行う」
お年寄りの中には、毎日のように病院に通わざるを得ない人がたくさんいます。一つの病院だけでなく、歯医者や眼科、整形外科などたくさんの病院に通っている人もいますので、その管理をネット上でできるようになると、施術の有無や投薬の種類や組み合わせなど患者の負担が小さくなるような利用ができると思います。

もっともっと発展的に考えると、次のような怖さもあります。

「固定資産税のように、預金にも税金を課す事ができる」
ご存じの通り、土地や建物を持っているとそれだけで固定資産税を払わなければなりません。「資産を持っているんだからあたりまえ」と考える事もできますが、現金や金銀財宝には税金がかかりません。土地や建物は登記情報で誰の持ち物かがはっきりしていますので税金を掛ける事ができます。

現金や金銀財宝は誰が持っているか把握が難しいために税金を掛ける事ができません。預金にマイナンバーをつける事によって、国がその気になれば預金に税金を掛けるための手段にする事ができます。ただし、これを行うと取り付け騒ぎになりますしタンス預金が増えますので、金融政策が有効に機能しなくなります。従って、こんな愚策は行わないと思いますが、とにもかくにもマイナンバーが付されますので間違いのない運用が必要になります。