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国税庁の伝家の宝刀
2022/4/21
4月20日付の日経新聞1面に「路線価認めず課税『適法』 最高裁判決 相続人側の敗訴確定」という記事が掲載されました。同じ内容で朝日新聞は「行きすぎた節税、評価し直し『伝家の宝刀』課税認める 最高裁初判断」と掲載しています。

事件内容としては、お金持ちが相続対策のためにマンションを購入し、相続時に路線価により評価したため、借金と相殺して他の財産を合わせても相続税がゼロになったというものです。

相続税や贈与税の計算をするためには、財産の時価を計算しなければなりません。その評価方法として、税務署は財産評価基本通達というものを公表しています。通達というのは、税務署内で国税庁のトップから末端の署員まで従わなければならないもので、これによれば税務署員個人の考え方や地方によって税務署の判断が違うということを防ぐことができます。納税者はこれに従わなければならないわけではありませんが、通達の考え方を知ることにより税務署とのトラブルはなくなるはずです。

時価とは「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいう」と通達で決められています。しかしながら、通達では土地の評価は原則として路線価によることになっています。路線価が付されてない地域は倍率方式で評価します。

タワーマンションの場合には、土地そのものの路線価による評価は高いものですが、例えば40階建てのマンションであればワンフロア1邸でも40分の1の評価になりますし、ワンフロア5邸あれば200分の1になります。これは、自分の持分によって評価額を計算することになるためです。

今回の事例は、「13億で購入したものを、3年後に路線価による評価をしたら3億円の時価」と計算されたものです。確かに「通常成立すると認められる価額」ではないと私も思います。不動産鑑定士による査定を行えば、3億という金額にはならなかったと想像します。

今回の判決では、このマンション購入が相続税対策のためであると家族が認識していたことも重要であったようです。結果、税金を安くするためだけにこの方法を使ったことが問題とされました。しかし、違法行為をしているわけではなく、税務署が示した方法で評価したものが覆されることは非常に危険であり、重要なことです。

なぜ税務署が覆すことができたのか…それは、財産評価基本通達に「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という一文があるためです。

前述のとおり、通達は税務署員が従わなければならないルールであるため、この表現は正しいと思いますが、納税者はどのような評価が「著しく不適当」となるのかがわかりません。わからないから通達に従うのですが、その通達によることが著しく不適当とされるのであれば、よりどころがなくなることになってしまいます。

この規定を乱用すると、国税庁に都合よく変更できる可能性もあります。そのため、この規定を使うことは少なく、また使った場合には大きな影響があるため「伝家の宝刀」とよばれるのです。今回、最高裁が上告棄却したため国税庁の判断が正しいとお墨付きを得たことになりますが、どこまでが「行き過ぎた節税」なのかが重要であると私は考えます。