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イマイのコラム
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インボイスまであと少し
2023/9/11
インボイス制度が始まるまで、あと少しとなってしまいました。何年も前からアナウンスされていたにもかかわらず、まだ充分な対応策をとれていないのではないかという不安ばかりです。

請求書や領収書の記入方法は、ほとんどの事業所で理解できているかと思います。消費税の納税額の計算方法は、今回のインボイス導入によって、「(1)今まで課税事業者で原則課税で計算していた人」「(2)今まで課税事業者で簡易課税で計算していた人」「(3)インボイス導入を機に課税事業者になった人」の3種類の計算方法に分かれます。

(1)の人は、買ったときの請求書や領収書がインボイス対応の形式になっているかどうかが問題となります。領収書に上様と書いてあったり宛名が空白だったりした場合には、インボイス対応になっていませんので売り手に書き直していもらわないといけません。

もちろん、税率や税額が書いてなかったり、間違っていたりした場合も書き直していもらわないといけません。(自分で書き直すと「インボイスの改ざん」になってしまいます。相手の了解を得て、相手の控えとともに修正する場合には自分で書き直しても良いようです。)

そうすると、(1)(2)(3)のすべての事業者は、請求書や領収書に間違いがないように記載しないと書き直しの手間が増えることになります。

(2)の人は、消費税納税額の計算において経費は概算で計算しますので、買ったときの請求書・領収書がインボイス対応になっていなくても問題がないということになります。ただし、前述の通り、自分が発行する請求書・領収書はインボイス対応形式でないとトラブルになる可能性があります。

(3)の人は、消費税納税計算に2割特例が使えます。決算時に、「原則課税が得か」「簡易課税が得か」「2割特例が得か」を判断します。通常であれば2割特例が得になりますが、一部、原則課税が得になるような場合があります。原則課税が得の場合には(1)の人と同じように、払ったときの請求書・領収書はインボイス対応形式でなければならないということになります。

決算の時に「やっぱり原則課税が得だった」とわかっても、さかのぼってインボイス対応形式であったかどうか確認することは困難ですので、原則課税に対応できるインボイスの保存と記帳方法を採用していないといけないことになります。今まで免税事業者だった人が、そのような記帳ができるかどうか…疑問であります。

今まで3万円未満の少額な取引については、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは、帳簿の記載事項が守られていれば、消費税計算において仕入税額控除が認められていました。これが原則として廃止されます。

今後は基準期間における課税売上高が1億円以下の事業者(特定期間の課税売上高が5千万円以下の事業者も)についてのみ、税込み1万円未満の少額な取引については、帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められることになりました。

結果、売上高が大きな事業者は、すべての取引についてインボイスがないと仕入税額控除が認められません。売上高が小さな事業者でも、1万円以上の取引についてはインボイスがないと認められないことになります。

一部、切符代とか自販機によるジュースの購入など、インボイスが発行できないものについてはインボイスがなくても控除が認められます。そうなると、ETC通行料については利用明細をダウンロードする必要が出てきます。また、電話代や電気代など、請求書が郵送されずダウンロード形式で提供されている場合もすべてダウンロードし、保存する必要があります。(電子帳簿保存法の関係で、電子で届いたものは電子で保存する必要があります。印刷して税理士等へ報告した場合にも、電子での保存も必要ですので6年1月以降はこの対応も必要です。)

上記のように、仕入や経費にかかるインボイスについてまだまだ周知徹底がされていないため、お客様に伝えていかねばなりません。