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イマイのコラム
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配偶者控除について考える
2016/09/28
このところ配偶者控除の見直し論議が盛んになってきました。女性の社会進出の妨げになっているとの論調と、高額所得者への恩恵が大きいことへの論調の二つがありますが、個人の所得税の計算が非常に複雑であることが個人的には問題だと思います。例えば、サラリーマンの場合…
  • まずは年収の総額を把握する。
  • その総額から、自動的に給与所得控除額が計算される。
  • 差し引いた残額から、所得控除の総額を控除し、その残額に対して税率がかけられる。
  • さらに、税率がかけられた後の数字から税額控除の総額を控除し、税額が決定される。
税額控除のメジャー選手は住宅取得控除だと思いますが、今回問題にされている「配偶者控除」は所得控除のひとつであり、税率がかけられる直前の数字を計算するものです。所得控除には性格として2種類あり、一つは「本人の状況」(家族構成や障害の有無など)を考慮し、もう一つは「金銭支出の有無」を考慮したものです。金銭支出には医療費控除だったり、社会保険料控除、生命保険控除などがあります。本人の状況では、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などもあります。

そもそも、生命保険を支払っているとなぜ税金が安くなるのでしょう?住宅を購入して借金があるとなぜ税金が安くなるのでしょう?配偶者や扶養親族があると税金が安くなるのはなぜでしょう。もちろん、生活費がかかるのでそれを考慮することはわかりますが、年間38万円の控除ですし、その後に税率がかけられる金額であるため、税額として生活費が楽になるような金額ではないと思います。

またサラリーマンの場合、年末調整の時期に奥さんの年収を報告する必要もあります。早い会社だと11月中に奥さんの12月給与まで考えて申告する必要がありますが、そこにも制度的な無理があります。さらに103万円の壁とも言われる「配偶者特別控除」という制度もあるため、102万円を稼いだ奥さんを持つサラリーマンと104万円を稼いだ奥さんを持つサラリーマンでは、税額は変わりません。さらに110万円を稼いだ奥さんを持つサラリーマンとも、そんなに大きく変わらないように設定されています。制度として、103万円を超したらドンと税額が増すような設計にはなっていません。

複雑な計算を行うと間違いも多くなるため、税額計算のプロセスを簡略化するのが一番いいと思います。すべての所得控除をやめて、基礎控除を倍増させるのはどうでしょうか?その分、税額が増えてくるはずなので、税率を細分化して低所得者の税負担を小さくしていくのはどうでしょうか?そうすることで給与総額が計算できれば、おのずと税額が計算できるようになります。生命保険があろうが扶養親族がいようが、全く関係なく税額が決定されることが可能になります。

医療費控除を確定申告で行う人も多いですが、そもそも医療費の個人負担が大きいことが問題だと思います。ある程度の金額を超えるとそれ以上には個人負担がない状況(高額医療費の制度がそれですが…)であれば、医療費が多額になったからと言って税金の還付を受ける必要もなくなるはずです。医療費控除の制度がなくなると税務署の事務負担も軽減されるので、合理的であると考えるのですが…。