ティータックの税務サービス 会社紹介 お客様の声 税務豆知識 よくあるご質問 お問い合わせ `トップページに戻る
 
イマイのコラム
イマイのコラム
背任行為と国税局
2021/7/5
2021年7月5日の日本経済新聞の春秋に、次のようなコメントが載っています。
「こんな腹立たしい事件があるだろうか。仙台地検は先週、国の復興事業に絡み、下請け業者から受け取った裏金約2億2千万円を申告していなかったとして、大手ゼネコン東北支店の元幹部を脱税で訴追した。工事現場は福島県富岡町。原発事故で避難生活を強いられた人々は税金を食い物にした醜聞をどう受け止めたか。」
この事件の概況は次の通りです。ゼネコンの営業部長が下請け業者から多大な接待を受けたり現金を受領していたことが査察で判明したため、仙台国税局が仙台地検に告発、仙台地検が在宅起訴したというものとなります。被災地の建物解体工事の現場部長として下請け業者を選定できる立場にあったため、下請け業者はこの部長のいいなりにならざるを得なかったのだと想像できます。

ここで問題となる点を整理しますと…まず、下請け業者からのバックマージンを受け取るということは、本来ならば100でできる仕事を110で外注発注して、10を個人に返還してもらうことになります。ゼネコンから給料を受け取っているにもかかわらず、外注費を増額することになるためゼネコンに損失を与えることになり、背任行為となります。

次に、給与以外に収入があった場合には、原則として確定申告をして所得税を納めなくてはなりません。当然のように、この部長はもらったお金を申告していませんでした。そこで、国税局はこの「税金を納めていないこと」を問題として起訴したのです。背任行為は問題としていません。…これは税務当局として当然のことです。(ちなみに、法人からの贈与は所得税法上「一時所得」として課税されます。)

日経新聞のみならず、新聞でのこの事件への論調の多くは「震災復興予算を不当に流用した」ということに憤慨しているように思えます。しかし、公共事業の裏金作りだけが悪く、私企業からの受注だったらバックマージンを受け取ってもいいのかと言ったら、そうではありません。

背任行為自体が問題とされるのです。自身が勤めるゼネコンに損害を与えるような下請け業者との契約が問題なのです。もっと安く工事ができればゼネコンにも利益を与えますし、施主への見積もりも低く抑えることができます。「震災復興だから、けしからん」のではありません。

この状況を見逃したゼネコンも問題でしょうし、発注額を抑える努力が足らなかった発注官庁も問題でした。このようなことが繰り返されないように厳重な罰が必要となるでしょうし、会計検査院の働きにも期待したいと思います。