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イマイのコラム
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夏の読書
2021/8/23
8月になると戦争と平和について考えます。今年のお盆休みには「ペリリュー −楽園のゲルニカ−」という漫画を一気読みしました。全11巻が完結したということもあり、新聞やネットの一部で話題になっていたものです。

第一次世界大戦で日本の統治下となったパラオ諸島のペリリュー島を、防衛体制の重要拠点として死守すべく、たくさんの日本軍が投下されました。アメリカ軍も日本本土への空爆の拠点として重要視したため、悲惨な戦地の一つとなったのですが、驚くことに敗戦後2年の間、日本兵は敗戦を知らず、あるいは敗戦を信じず、洞窟で生きながらえたと言います。その間、食料や衣服などの生活用品を住民から奪取したという…。

私が子供の頃、小野田さんや横井さんというグアム・サイパンに潜んでいた日本兵が日本へ帰ってきて話題となりました。その原点となる物語が、この漫画でよくわかりました。朝日新聞朝刊で連載されている「また会う日まで(池澤夏樹)」の中では軍艦を主体とした戦争から飛行機を主体とした戦争へ変化することを示していましたが、その話とこの漫画が私の中でシンクロし、ストンと腹に落ちました。

アメリカが日本へ侵攻するためには、日本の南に位置する小さな島を「不沈空母」と位置づけ、その島を日本軍から奪うため膨大な数の弾薬や火器で侵攻していく…日本もそれがわかっているから、島を占領されないように日本兵を多数投下しました。しかし、日本軍の侵略地域が広すぎたことと物資不足から後方支援ができず、最後まで戦えという精神論で戦わせました。

「捕虜になるのが恥である」という教育をすることによって、投降することをさせなかったのです。ペリリュー島でも投降できず、2年間も洞窟で生活していた原因は「生きて虜囚の辱めを受けず」という考え方でした。

話は変わりますが、沖縄戦でも日本兵のいた場所では民間人の「集団自決」がありました。しかし、日本兵のいない場所ではそれがなかったと言います。ペリリュー島で「戦争は終わっているのではないか」と考えても、アメリカ軍へ投降することができなかった原因でもあります、この考え方がいかにむごいものであるかということを知ることができました。

この漫画…かわいいイラストではありますが、悲惨な状況をよく表しています。最終刊では戦後の場面も出てきており、戦争が今につながっていると感じることもできます。とてもおすすめできる1冊です。