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イマイのコラム
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相続税の話
2012/07/03
7月2日の朝日新聞に「相続はリスク 税のない国へ」という記事が載っていました。社員数人で始めた会社が業界最大手に育ち、巨万の富を築いた人の話です。米国生まれの直系の親族(一般には息子か娘ですが)がいるので、米国の国籍を取らせ株や有価証券で贈与する事によって、日本の贈与税や相続税がかからないようにできるという事でした。

この記事は、税逃れの方法を紹介するのが目的ではありません。グローバル社会で人が流動的に動いているにもかかわらず、税金は各国毎にシステムが違う事が問題であると提起しています。「いろんな抜け穴がある。相続税を厳しくすれば、金は税のない国に逃げる。当たり前の経済行為でしょう」とのコメントも載せています。

スウェーデンでは贈与税も相続税も廃止してしまったそうです。「高額所得者が国外に出てしまえば、国の競争力が落ちる。無駄を省いて、もっと税金を下げるべきだ」との考えで、税金が企業を国外に追いやる可能性があるので、富裕層に対する税金を少なくしたとの事です。日本で有名になったイケアもスウェーデンの会社ですが、持ち株会社はオランダにあります。「資本も資産も自由に世界を駆け回る。一方で税金は国ごとにかかる」…スウェーデンでは企業に逃げ出されないように割り切ったとの記事でした。

相続税のない国も列挙され、「カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イタリア、スイスが廃止」「中国やインド、タイなどにはそもそもない」との事…確かに、富の配分という考えでスタートしている贈与税や相続税の制度は、グローバル社会においては実態にそぐわない制度になってしまうのでしょう。自分が稼いだ資産がどこの国に帰属するのかなんて事は、ナンセンスな課題になって行くのでしょう。

その日の夕刊では「鳩山兄弟、母から計84億円 贈与受ける」との記事が載っていました。その中で「税金についても額がケタ違いなので、相続でも贈与でも税率は最高税率の50%で変わらない」とコメントされていました。ナルホド…しかしながら、スゴイはなしデス。ホントにケタ違い…。

消費税増税の論議がされている中、相続税の増税計画は水に流れたようです。私は相続税増税も必要と考えていましたが、日本の中だけでなく、グローバルな視点で税制を考える必要がある事を再認識できました。