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日本人の読解力
2019/11/1
日経ビジネスの10月28日号で「AI未満人材−教育劣化ニッポンの現実」という特集記事が掲載されていました。その中で、全国の中高生2万5千人を対象に実施した、基礎的読解力調査の結果のうち二つが載っていました。そのうちのひとつを紹介すると次のようなものです。
また記事の中では、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査PISA(ピサ)の成人版PIAAC(ピアック)という調査の結果も紹介しています。これは16歳〜65歳の約15万7千人の調査結果ですが、それによると日本人の現役世代の27.7%は「日本語読解力の習熟度がレベル2以下」であるとのことでした。
「日本で生まれ日本語を母語として育つ子どもの割合が高く、移民の比率が高い国や多言語国家に比べ、『読解力』調査などではもともと有利な立場にある」と分析し、「十分なアドバンテージがあるにもかかわらず、10人中3人が読解力が低いという現実を深刻に受け止めるべきだ」としています。
読解力だけでなく社会人向けの算数教育が活況であることを示し、その理由として大手企業で働く人が昇格などの試験のために「学び直し」が必要になっていることを挙げていました。また、大手金融機関における新入社員200人のうち半数が、消費税計算ができない(税抜き価格に1.1を掛けることができない)というコメントも載せています。
この記事の結論は、「教育改革が必要であり、大人になっても学び直す機会が与えられる社会が必要である」というものでした。私はこの意見に賛同します。顧問先である学習塾へ伺っているときに耳にした話ですが、「家で寝転がってテレビを見ているだけの父親から、勉強しろって言われても効果ないよね」と…まさにその通りだと思います。「子どもは親を見て育つ」とよく言われますが、家で読書をしたり資格試験の勉強をしたり、知見を広げるための学習をしたりしている親の姿を見ることができれば子どもも自ら学ぶようになるのではないでしょうか?
勉強が遅れている子どもに何をさせるか…という私の質問に塾の先生が答えてくれたのが、「まずは挨拶ができるようにする。その上で本を読めるようにする」ということでした。挨拶はコミュニケーションの基本であり、読書は学習の基本です。読解力がなければ教科書に書いてあることが理解できず、先生の話も理解できません。算数や理科の学習においても読解力が必要であるということでした。その第一歩が「本を読む」ことになります。
税金の計算はすべて税法に則って行われます。税法の条文は読み取りが難しいことで有名です。二重否定などがたくさんあり、括弧書きの中に括弧書きがあったりします。そうすると、税法の条文をどのように読み取るかがカギとなってきます。これは税法の解釈という問題ではなく、それ以前の「読み方」の話になってきます。
本来ならば素直に読めば解釈できることを「思い込み」によって間違った読み方をして、間違った解答を導き出すことがあります。例えば「次のものは交際費に含まれないものとする」という文章であるのに、その部分を読み飛ばして「ここに書いてあるから交際費なんだ」と全く逆の読み方をしてしまうことがあります。これは危険です。このような間違いを起こさないためには、時間をおいて再度じっくりと文章を読むことが必要です。そうでないと「思い込み」を払拭するのは難しいと思います。
文章が読めない日本人が増えているということは、会話の内容も理解できていない人が多いと思われます。信頼関係を築くためには会話によるコミュニケーションが大切であると考えますが、この会話が成り立たないとなると考え物です。
※ ちなみに…冒頭の問題の解答は「オセアニアに広がっているのはキリスト教である」が正答です。
仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。
オセアニアに広がっているのは( )である。
この問題の正答率は中学生が62%、高校生が72%。
この記事で取り上げられているのは、この問題で約1/3の人が正答できなかったことです。読解力の劣化がはっきりと現れていると警鐘を鳴らしています。「世代全体の読解力が10年や20年で落ちることはない」とし、中高生だけでなく、より上の世代まで含めた日本人の1/3が「簡単な文章が読めなかった恐れすらある」としています。オセアニアに広がっているのは( )である。
この問題の正答率は中学生が62%、高校生が72%。
また記事の中では、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査PISA(ピサ)の成人版PIAAC(ピアック)という調査の結果も紹介しています。これは16歳〜65歳の約15万7千人の調査結果ですが、それによると日本人の現役世代の27.7%は「日本語読解力の習熟度がレベル2以下」であるとのことでした。
「日本で生まれ日本語を母語として育つ子どもの割合が高く、移民の比率が高い国や多言語国家に比べ、『読解力』調査などではもともと有利な立場にある」と分析し、「十分なアドバンテージがあるにもかかわらず、10人中3人が読解力が低いという現実を深刻に受け止めるべきだ」としています。
読解力だけでなく社会人向けの算数教育が活況であることを示し、その理由として大手企業で働く人が昇格などの試験のために「学び直し」が必要になっていることを挙げていました。また、大手金融機関における新入社員200人のうち半数が、消費税計算ができない(税抜き価格に1.1を掛けることができない)というコメントも載せています。
この記事の結論は、「教育改革が必要であり、大人になっても学び直す機会が与えられる社会が必要である」というものでした。私はこの意見に賛同します。顧問先である学習塾へ伺っているときに耳にした話ですが、「家で寝転がってテレビを見ているだけの父親から、勉強しろって言われても効果ないよね」と…まさにその通りだと思います。「子どもは親を見て育つ」とよく言われますが、家で読書をしたり資格試験の勉強をしたり、知見を広げるための学習をしたりしている親の姿を見ることができれば子どもも自ら学ぶようになるのではないでしょうか?
勉強が遅れている子どもに何をさせるか…という私の質問に塾の先生が答えてくれたのが、「まずは挨拶ができるようにする。その上で本を読めるようにする」ということでした。挨拶はコミュニケーションの基本であり、読書は学習の基本です。読解力がなければ教科書に書いてあることが理解できず、先生の話も理解できません。算数や理科の学習においても読解力が必要であるということでした。その第一歩が「本を読む」ことになります。
税金の計算はすべて税法に則って行われます。税法の条文は読み取りが難しいことで有名です。二重否定などがたくさんあり、括弧書きの中に括弧書きがあったりします。そうすると、税法の条文をどのように読み取るかがカギとなってきます。これは税法の解釈という問題ではなく、それ以前の「読み方」の話になってきます。
本来ならば素直に読めば解釈できることを「思い込み」によって間違った読み方をして、間違った解答を導き出すことがあります。例えば「次のものは交際費に含まれないものとする」という文章であるのに、その部分を読み飛ばして「ここに書いてあるから交際費なんだ」と全く逆の読み方をしてしまうことがあります。これは危険です。このような間違いを起こさないためには、時間をおいて再度じっくりと文章を読むことが必要です。そうでないと「思い込み」を払拭するのは難しいと思います。
文章が読めない日本人が増えているということは、会話の内容も理解できていない人が多いと思われます。信頼関係を築くためには会話によるコミュニケーションが大切であると考えますが、この会話が成り立たないとなると考え物です。
※ ちなみに…冒頭の問題の解答は「オセアニアに広がっているのはキリスト教である」が正答です。